【”噛む”ことは介護予防・健康寿命の”秘訣”】形あるもの(常食)を食べ続けて、豊かな食生活を続けよう!

年を取ると、歯茎が弱くなって、柔らかい食事の方が楽なんだけど・・・・・。固いものでも柔らかいものでも、お腹に入ってしまえば同じことではないか?

う~ん、確かに。

固いものでも、柔らかいものでも、口の中を通って胃の中に入ってしまえば、対して変わらないと考えるのが一般的かもしれません。

なので、介護予防・健康寿命と「固いものを食べること」にどんな関係があるのか?って言われると、はっきりとした説明できないかもしれませんね?

でも、今日この記事を読むと、形ある食事(常食)=噛むことをすることが「介護予防・健康寿命」のためにつながることが理解出来て、今日からしっかり噛む食生活ることを意識するようになると思います。

なのでここでは・・・

  • 私たちの生活における食事の役割とは?
  • 口腔機能の仕組みを理解して、嚙むことの大切さを学ぶ。
  • なぜ形ある食事=噛む食生活が「介護予防・健康寿命」につながるのか?
  • まとめ:形ある食事=噛む食生活の継続は「介護予防・健康寿命」の”秘訣”!

・・・という流れで説明します。

目次

私たちの生活における”食事”の役割とは?

質問です。どっちの食事がおいしそうに見えますか?

常食

介護食

どちらも「焼き魚」「肉じゃが」「野菜炒め」「味噌汁」になります。

明らかに上の写真の方がおいしそうに見えますよね。

これだけでも、人は「形あるもの(常食)」を食べたいと思うものです。

本来、「食」の役割は大きく分けて「文化」「栄養」「摂食」の3つになります(下記図参照)。そして、それぞれの役割からも「常食」を食べるという重要性が説明できます。

文化としての食・・・「地域性・季節性・歴史性」と「味わい」

食文化と言われるぐらいに「食べる」という行動は文化に密着しています。

同じ食材でもそれぞれの地域や季節、そして歴史的にも違いがあります。

なので、「形ある食事=常食」を食べることは、社会の文化に触れながら生きるという意味で、高齢者にとっても重要な自立した生活の要素になります。

また、食事には「味覚」「食感(歯ざわり、舌触り、のどごしなど)」「視覚」「嗅覚」「聴覚」が絡まって、「味わい」となっていきます。

よって、「形ある食事=常食」を食べることは、「味わい」を感じながら食べるという重要な自立した生活の要素にもなります。

栄養としての食・・・「重要」かつ「本質的機能」

これは説明するまでもないかと思われますが、食事をすることで人間は栄養を取ります。

しかしながら、ミキサー食やペースト食にすると、水分やだし汁を多用に使い、栄養価がさがり、高齢者の低栄養化につながることがあるとのことです。(日本精神科医学会認定栄養士更新事例報告書より 引用:https://www.nisseikyo.or.jp/education/nintei/images/casereport_ex_eiyou3.pdf)

なので、出来るだけ形ある食事=常食を食べることが、健康的な体を作るのに必要なことなのです。

摂食としての食・・・口から食事を摂る大切さ・「経口摂取」

食事には口から食べることによって成り立ちます。

そのときに口から食べるという動作がとても重要になってきます。(経口摂取)

高齢になってくると、運動機能と同じく口腔機能も低下傾向にあるので、比較的柔らかい食事を好むようになります。

しかし、柔らかい食事になれてしまうと噛む回数が減るので、口腔機能全体の低下を加速してしまい、最終的には食事の自立性を失って、介護予防・健康寿命に悪影響を及ぼします。

要するに、体も口も筋肉の動きなので、動かさなければ動かなくなるということなのか!

口腔機能の仕組みから、噛むことの大切さを理解しよう!

食事を食べるとき、口はどんな動きをしているでしょうか?

食事を食べるとき、大きく簡単に分けると次の3つになります。

  1. 摂食(せっしょく)・・・食べ物を口に入れる
  2. 咀嚼(そしゃく)・・・・食べ物を噛む
  3. 嚥下(えんげ)・・・・・食べ物を飲み込む

(イラスト引用先:https://jfohp.or.jp/okuchikenko_navi/senior/ 日本口腔保健協会)

そして、この中で一番重要なのは・・・・「咀嚼」いわゆる「噛む」ということになります。

リハビリや介護の世界では「嚥下」いわゆる「飲み込み」の方を重要視しており、デイサービスなどでも「嚥下体操」と称して、食事前に行ったり、機能訓練指導員等が嚥下訓練をしているのを見かけます。

しかしながら、「咀嚼」いわゆる「噛む」という運動機能がしっかりしていれば、どんな食べ物も嚙み砕くことが出来て、「食塊」が出来ます。

「食塊」とは?

「食塊」とは、噛み砕いた食べ物と唾液でできる「1口サイズに飲み込める食べ物の固まり」のことです。

この食べ物と唾液が良く混ざった”きれいな”食塊が出来れば、「嚥下」いわゆる「飲み込み」は比較的簡単にできます。

要するに、「咀嚼」「噛む」ことがしっかり出来れば、飲み込みやすい「食塊」を作り出すことが出来て、問題なく「嚥下」「飲み込み」することが出来ます。

だから、「咀嚼」いわゆる「噛む」ことが重要になって来ます。

人は1日何回ぐらい噛むのか?

「1回の食事の咀嚼回数と食事時間を調べた報告によると、戦前の食事は1420回噛み、約22分だったのに対し、現代の食事は620回で約11分と、噛む回数、食事時間とも半分に減っている。」とのことです。(農林水産省のサイトより)

つまり、現代でも1日1800回以上は噛んでいることになります。

形ある食事をしないと、私たちの体はどのように変化するのか?

軟らかい食事ばかりをしていると、「噛む」という動作をしなくなるので「噛む力」が低下する。そうすると、顎の力も低下し、下の動きも低下し、やがて口全体の動きに影響をもたらし、口腔機能の低下が起こる。

むせない=食事の自立を図る為にはどうしたら良いか?

では、いつまでも健康的な食事を維持するにはどうしたら良いでしょうか?ポイントは以下の5つです!

①噛むことを意識しながら、常食(普通の食事)を食べ続ける。

軟らかい食事は噛む力を失い、食塊を作り出すことができないので、逆にむせこみます。常食(普通の食事)を食べ続けることが、むせることがない安全な食事形態なのです。なので、しっかり噛んで食塊を作り出すことを意識しながら食事を摂るように心がけましょう。

②日頃の水分摂取を心がけ、意識レベルを維持する

水分不足により意識レベルが低下すると口の動きも低下してむせやすくなります。また、だ液の分泌量が減るので食塊が作りにくくなり、飲み込みにくくなります。ここでも1日1500ccの水分摂取を心がけるようにして、口腔機能を維持して行きましょう。

③食事介助をされないで、自分で最後まで食べる!

食事介助は自分のタイミングで食べられないので、実はむせやすいのです。体が衰えて行っても、出来るだけ自力で食事を摂るようにしていきましょう。

④食事用の椅子に正しい姿勢で座って食事を摂る

ベットの上で食事をしたり、車いすで食事をすると、嚥下機能に影響を及ぼします。足底がきちんと床につけて、膝と腰が直角になるような正しい姿勢で食事をすることで、噛む力が上がります。必ず食事用の椅子に座って食事をする習慣を維持して行きましょう!

⑤自分の口に合った入れ歯を使う!

口腔機能で一番大切なのは「噛む」力です。しっかりとした歯がなければ噛めません。歯医者さんに行って入れ歯を定期的に点検して、常に気持ちよく噛めるようにしていきましょう。

まとめ:形ある食事=噛む食生活を継続して「介護予防・健康寿命」を伸ばそう!

形ある食事を摂ることは、「介護予防・健康寿命」の必須条件です。①常食を食べて、②1日1500ccの水分摂取をして、③いつまでも自力摂取で、④良い姿勢で、⑤合う義歯を使って、楽しく食事をしていきましょう。