【”お通じ”を制すは、健康寿命・介護予防を制す!】排便コントロールを考えよう!

下の世話になるくらいならぽっくり死にたい・・・!

・・・・そんな風に考えているご年配の方は多いかと思います。

確かにトイレってすごくプライベートな部分だし、だから出来ればこの部分は人生の最後まで自分で出来る状態にしておきたいですよね?

また高齢になると便秘になりやすく、下剤に頼ることも多くなる問題もあるかと思います。

排便は、他の基本ケアととても連携していて、水分・運動・食事の結果として出てきます。なので、「健康寿命・介護予防」を目指すうえでのとても良いバロメーターとなっています!

なのでここでは・・・

  • 排便の仕組みを理解する
  • なぜ便秘が起きるかを理解する
  • 下剤の正しい知識と副作用について
  • 下剤に頼らない健康的な”お通じ”を続ける7つの秘訣!

・・・という流れで説明します。

目次

排便の仕組みを理解しよう!

大腸全体の機能は?

小腸で食物の消化と栄養の吸収をしたあと、食物はドロドロの状態で盲腸にたまって来ます。

大腸はそのドロドロの食物を「大便」に作り替え、そして「排便」させる役目を持っています。

この「流動体」が肛門の方に移動する間に水分が吸収され、「半流動体」⇒「粥状」⇒「半粥状」⇒「半固形状」⇒「固形状」となっていきます。

便意のカギとなる「直腸」とは?

直腸は普段は空っぽで便は入っていません。

中身がなければ両壁がくっついています。

そこを押し分けて便が下りてくると、それが刺激になって脳に便意が伝わます!

胃と腸の働きを活発にさせるための2つのポイント!

起立大腸反射

横になった姿勢から立ち上がるときにおこる反射で、大腸のぜん動運動を盛んにさせ、便の移動をスムースにさせます。

普段から歩いたり運動したりするのが良いというのは、この反射が起きるからです。

胃大腸反射

食物や水分を摂ることによって胃袋を刺激し、大腸の動きを活発にさせて、便の移動をスムースにさせます。

食事量が極端に少ないと「食事性便秘」と言い、やはり便秘になってしまいます。

なぜ便秘が起きるか?

年を取ると便秘になりやすい・・・と感じる人は多くいますが、それは正しいです。

高齢になって来ると、腸そのものに異常がなくても、年齢的な原因で機能の衰えや異常が現れてきます。

これを「機能性便秘」呼び、さらに「直腸性便秘」と「弛緩(しかん)性便秘」に分けられています。

直腸性便秘

通常、お通じが直腸に降りてくると、直腸がそれを感知して便意を感じます。

しかし年齢とともに、その直腸の感知能力が低下して便意を感じなくなます。

そして、そのまま便が停滞することがあります。

これを「直腸性便秘」と呼びます。

弛緩(しかん)性便秘

年齢とともに大腸のぜん動運動が低下してきます。

そうすると便の通過時間が長くなり、水分が抜けてきて、だんだん硬い便になって来るのです。

そして、便がなかなか下に降りてこなくなります。

これを「弛緩性便秘」と呼びます。

下剤の正しい知識と副作用

便秘になったら薬を飲めば良いんじゃない?今は色々薬も出てるからね・・・

いやいや!それは間違った考え方です。

下剤を常時頼ってしまうと、自立した排便コントロールが出来なくなり、下剤依存になるだけでなく、腸内環境も悪化してしまいます。

下剤の種類

引用:https://www.qlife.jp/square/healthcare/story65332.html

上の図のように、大きく分けて「非刺激性」「大腸刺激性」「浣腸薬」に分かれます。

非刺激性は「腸内の水分を集めて便を軟らかくする」ことで排便を促します。主に「塩類下剤」「膨潤性下剤」「潤滑性下剤」に分かれます。

「大腸刺激性」は腸の動きを活発にして排便を促します。主に「刺激性下剤」「漢方薬」になります。

その他に「浣腸薬」は腸を刺激するとともに、腸の壁面を滑りやすくして排便を促します。

下剤の副作用

下剤を連続して使っていくと、「直腸性便秘」になりやすいです。

少しずつ直腸に便が流れ落ちていくため、直腸にまとまった便として感じ取れなくなり、便意を感じにくくなって便秘になっていきます。

また、刺激性の下剤を多用していくと、下記の写真のように腸内環境が悪化して、本来の機能であるぜん動運動の低下を招くだけでなく、発がん性の亢進や免疫力の低下を招きます。

下剤を使わないで便秘を解消する七つのケア

それでは、どのようにしたら便秘を解消していくことが出来るでしょうか?

下記の7つのポイントがありますので、順番に見ていきましょう。

①朝起きたら、まずは”水”を飲む。

水分摂取は便秘の特効薬です!

一般的に多く用いられている下剤は「増量性下剤」で、便の水分量を増やして排便しやすくなっています。

つまり、元々の水分量が取れていれば、水分そのものが「便の増量剤」となるので、下剤に頼る必要はありません。

特に、朝起きたときのお腹は空腹になっていて、腸を刺激するには最高のタイミングです。

なのでまずは「朝起きたら、水分で目覚めの1杯!」をしてみましょう!

②歩行を中心とした運動を継続する

高齢者にとって一番効果的な運動は「歩行」です。

歩行は全身のエネルギーが増加するだけでなく、心肺機能から消化器系まで、あらゆる機能が活発になります。

特に立ったり歩いたりすると、先に説明していた「起立大腸反射」が起きて、腸の働きを活発かさせることができます。

歩行そのものが便秘の解消に直結する治療法であると認識していきましょう。

③形ある食事(常食)を食べるようにして、食物繊維摂取を維持する

高齢になって来ると軟らかい食事を好むようになる傾向があります。

しかし、お粥や食べ物をミキサーにかけて軟らかくするなどすると、食物繊維が破壊され、摂取量が破壊されてしまいます。

形あるそのままの食事(常食)が、すべての食形態の中でもっとも食物繊維が多い状態で食事が出来ます。

なので、いつまでも常食を食べて食物繊維摂取を意識していきましょう。

④食物繊維の多い食べ物を摂取する

食物繊維の多い食べ物としては、イモ類、根菜類、穀物全般、海藻類、菜っ葉類等です。

また「寒天ゼリー」は、水分と食物繊維でできている食べ物なので、水分摂取もできる&食物繊維も取れて、一石二鳥なのでとてもおすすめです。

最近は食物繊維のファイバーも売られているので、それを活用するのも良いでしょう。

いずれにしよ、ご自身の嗜好に合わせながら食物繊維を摂る習慣を作りましょう。

⑤規則正しい生活リズムを維持する(睡眠⇔覚醒リズム)

昼は目覚めて、夜はしっかり寝る習慣を維持するということです。

しっかり排便ができるためには、「食事を摂り、体の中で消化・吸収して、そして排便をする」という一定のリズムの中でできるものです。

しかし、昼寝を多くして夜起きてしまう習慣が続くと、排便リズムが崩れてしまいます。

そのためには、「日中は水分をしっかり摂取し積極的に活動することで体を覚醒」させ、「夜はしっかり寝る」ようにします。

そうすると、規則正しい生活リズムが維持されて、排便もしっかり出るようになります。

⑥決まった時間にトイレに行く!

生活リズムが一定になって来ると、「排便をするタイミング」が大体一緒になって来ます。

便意は1~2回の強いぜん動運動によって起きますが、それを過ぎるとその日の便意がなくなることがありませんか?

なので、自分が何時くらいにトイレに行きたくなるかを把握して、その時間はトイレに座る習慣を付けましょう!

⑦便座に座ってトイレをする!

写真引用:http://izumidateruo.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-6ba600.html

残念ながら介護施設等では見られることですが、ベット上で排便をする高齢者もいます。

しかしながら、寝ながら排便をするとお腹に力を入れても図のように出しにくくなります。

移乗介助でおトイレ誘導できる高齢者は、出来るだけ便座に座ってもらって排便をしてもらうようにしましょう!

まとめ:水分・食事・運動の結果は、排便でわかる!

定期的にしっかりとした「お通じ」が出るようになるには、やはり水分・食事・運動をしっかりケアすることが大切なのです。

なので、日ごろの生活の中で・・・・

  1. 水分1500cc以上飲めているか?
  2. 形ある食事をしっかり食べられているか?
  3. 毎日歩くことをしているか?

・・・を考えながら過ごしていきましょう!

快便は快適な人生を作ります!