<朝一番の水分が最高の下剤?> 起床後の胃大腸反射で大ぜん動運動を起こして便秘を解消しよう!

介護施設で勤務していたとき、ご入居者様が2~3日以上排便がないと、よく下剤を服用させられていたのを見ていました。

そのときは決まって刺激性下剤であり、その日の夜勤は排泄介助の嵐となるので、自分も嫌でしたが、ご入居者様もいやだったろうと思います。

そんな経験、みなさんもしたことありませんか?

別の記事でもお伝えしましたが、下剤の多用は更なる便秘に発展し、決して自然な排便になりません。

自然な排便リズムを取り戻すなら、まずは朝1番の水分摂取を開始し、胃大腸反射により大腸の動きを活発に始める習慣を作ることが始めることが大切になってきます。

ここでは、下剤を使って「ぜん動運動」を誘発するよりも、まずは朝一番の水分摂取が胃大腸反射を起こすことで「大ぜん動運動」を誘発する方が、安全で自然な排便を促すことを勉強していきます。

ぜん動運動と大ぜん動運動の違い

ここで、「ぜん動運動」と「大ぜん動運動」の違いを明確にしておきます。

ぜんどう運動

「ぜんどう運動」とは腸の内側が収縮(せばまったり)したり、弛緩(広がる)したりすることで、食物を腸内の中を通して、肛門の方へと押し進めていく運動のことです。

このぜん動運動は、体が起きている時も寝ている時も、24時間いつでも起きているのが特徴です。

大ぜん動運動

「大ぜん動運動」とは、便を大腸から直腸まで一気に移動させ、体外に排出しようとする腸の動きのことを言います。

これは1日に2~3回しか起きませんが、「ぜん動運動」の200倍の力で便を移動させることが出来ます。

排便を誘発する便意は、「大ぜん動運動」がきっかけになる

内容物がぜん動運動により便と変化しながら腸の中を移動し、一度S字結腸のところに貯まります。

この状態では直腸には便が来ていないので、いくら踏ん張っても出てきません。

よく看護師さんが摘便をするときに「便が下りて来ていない」というのは、この直腸に便が来ていないことを意味します。

ここで直腸に便を移動させることが出来るのは、

この大ぜん動運動によって便が直腸に行くと、直腸が伸張反射を起こし、脊髄に伝わり、それが脳に上がって便意となり、排便を促すことになります。

このように、高齢者の排便リズムを作り出すには、大ぜん動運動を起こして「S字結腸から直腸へ便を移動」させることがカギとなります。

大ぜん動運動を起こすためにはどうしたら良いか?

高齢者の便秘を解消させるためには、大ぜん動運動を起こす必要があるということを理解できたかと思います。

では、その大ぜん動運動を起こすためにはどうしたら良いでしょうか?

①8時間の空腹時間を作る

大ぜん動運動は「胃と小腸が空っぽの状態になって起きる」のです。(引用:https://rebirth-asakusa.com/5795/)

食事をすると、胃の中で3時間、小腸で5時間位かけて消化されたあとに、大腸に流れていきます。

その消化をしている間は「大ぜん動運動」が起きません。

なので、夕食を食べた後、夜中に何も食べない状態にして朝を迎えると、その時は「胃と腸が空っぽの状態」になり、「大ぜん動運動」が起こりやすい状態になっています。

②空腹の状態で食物や水を摂って「胃大腸反射」を起こす

その一方、口から食物が胃の中に入ったとき、数分で大ぜん動運動を起こすこともあります。

これを「胃大腸反射」言います。

例えば、大腸の中に内容物がある状態で、胃の中に食べ物が入って来ると、反射中枢を通って大ぜん動運動を起こし、内容物を押し進めていくことになります。

これによって、S字結腸に貯まっていた便が直腸へと移動し、排便を促すことになります。

この2つの状態を作り出すことで、より大ぜん動運動を起こす可能性を高めることはできないでしょうか?

朝一番の水分摂取で、胃大腸反射を起こし、大ぜん動運動を誘発する!

そうです!

空っぽになっている朝一番の中に水分を入れることで、上記の二つの条件を同時に満たすことになります。

水分は胃の中を刺激して「胃大腸反射」を誘発するだけでなく、便を形成する水分(増量剤)としても用いられます。

なので、便秘で苦しんでいる高齢者には、まず朝一の水分摂取を促して、大ぜん動運動を促してみましょう。

下剤の連用は直腸性便秘になりやすい

下剤を常に使っていると、大腸に貯まっている便がS字結腸で貯まることなく、常に直腸に貯まることになり、次第に直腸の感受性を弱めていきます。

そうすると、「便意」を脳で感じることができなくなり、「排便」を促すことが出来なくなり、直腸に常に便が貯まることになります。

下剤にはそのような危険性があります。

なので、まずは出来るだけ自然な形でS字結腸から直腸に便が移動する「大ぜん動運動」を促すようなケアが必要となってきますので、是非朝一の水分ケアから始めていきましょう。

詳細はこちらもご参考下さい:https://tjcareconsultant.com/defecation/

まとめ:排便の仕組みを理解して、朝一番の水分摂取を促そう!

如何だったでしょうか?

単に「水分摂取で便秘を治す」と言っても、なぜそうなのか?を理解することが大切です。

高齢者の便秘を解消するには・・・

  • 大ぜん動運動を促す
  • そのためには、胃と小腸を空にする
  • また、空腹の胃の中に水分や食べ物を入れる
  • その最高のタイミングが朝一で水分を飲んでもらうのが一番である

・・・と、自分の中で理論的に説明できるようになると、自信を持ってケアすることができます。

ぜひ今日から実践してみて下さい。