介護現場の管理者は、問題スタッフへの対応で悩みやすいものです。
注意しないわけにはいかない。
でも、言い方を間違えると反発される。
強く言えば「辞めます」と言われるかもしれない。
逆に弱く言えば何も変わらない。
この板挟みが、管理者を一番苦しめます。
ただ、ここで大事なのは、指導は「センス」ではなく「型」だということです。
特に問題スタッフへの対応は、毎回アドリブで話すと失敗します。
だからこそ、現場で使える言葉を持っておくことが重要です。
今回は、介護現場でよくある場面ごとに、そのまま使える指導のセリフを整理します。
目次
まず大前提|指導の目的は責めることではない
問題スタッフへの指導で忘れてはいけないのは、相手を追い詰めることが目的ではないということです。
目的は3つです。
- 事実を伝える
- 改善の基準を伝える
- 改善の機会を与える
ここがブレると、単なる口論になります。
逆にここが明確なら、感情的にならずに進めやすくなります。
1.挨拶ができないスタッフへのセリフ
介護現場では、挨拶は単なるマナーではありません。
利用者対応、職員同士の連携、現場の空気づくりの基本です。
だから軽く流してはいけません。
その場での短い指導
「今、挨拶がありませんでした。まず挨拶は必ずしてください。」
少し丁寧に伝える場合
「挨拶は気分でやるものではなく、仕事の基本です。利用者様にも職員にも関わるので、出勤時・退勤時・業務のやり取りでは必ずお願いします。」
繰り返す場合
「何度か同じことを伝えていますが、改善が見えません。このままだと個人の問題ではなく、職場全体への影響が出ます。ここは直していきましょう。」
2.反発的な態度を取るスタッフへのセリフ
管理者が困るのは、露骨な反抗ではなく、言い返し・不機嫌・無言の圧です。
この場合、感情で返すと泥沼になります。
まず落ち着いて返す
「意見があるなら聞きます。ただ、伝え方は分けましょう。反発することと、意見を言うことは別です。」
態度そのものを指摘する
「内容以前に、今の返し方だと話し合いになりません。業務上のやり取りとして適切な形でお願いします。」
線を引く言い方
「納得できないことがあるのはわかります。ただ、職場では態度で示すのではなく、言葉で伝えてください。」
3.指示に従わないスタッフへのセリフ
「やっておいて」と言ったことが実行されない。
これは現場ではかなり危険です。
利用者対応や事故防止にも関わるからです。
初回の確認
「この件、指示した内容が実施されていませんでした。できなかった理由を教えてください。」
言い訳が多い場合
「事情は聞きます。ただ、まず必要なのは“やれたか・やれていないか”の確認です。できていないなら、次どうするかを決めましょう。」
再発時
「これは“忙しかった”で済ませられる話ではありません。業務指示が継続して通らない状態は、現場運営上の問題です。改善が必要です。」
4.協調性がないスタッフへのセリフ
介護現場では、一人で仕事が完結しません。
だから協調性の欠如は、本人の性格の問題ではなく、業務上の問題です。
伝えやすい言い方
「一人で仕事をする職場ではないので、周囲と合わせる姿勢は必要です。」
具体的に伝える
「今のやり方だと、自分の仕事はしていても、周囲がフォローに回る形になっています。それではチームとして回りません。」
本質を伝える
「能力だけではなく、周囲とどう仕事をするかも評価の対象です。そこは理解してください。」
5.本人が『私は悪くない』という場合のセリフ
これはかなりよくあります。
ここで「いや、あなたが悪い」とぶつかると終わりです。
争点を“気持ち”ではなく“事実”に戻します。
基本形
「そう思っていることは分かりました。ただ、今回は気持ちではなく、起きた事実を確認したいです。」
事実に戻す
「認識に違いがあるのは理解しました。そのうえで、実際にこういう場面がありました、という話をしています。」
改善に向ける
「責めるために言っているのではなく、同じことを繰り返さないための確認です。」
6.面談で改善を促すセリフ
問題スタッフ対応は、その場の注意だけでは足りません。
面談で方向性をそろえる必要があります。
面談の入り口
「今日は責めるための面談ではなく、現状確認と改善のための面談です。」
問題の共有
「こちらとしては、挨拶、報連相、協調性の3点に課題があると見ています。」
改善基準の提示
「今後は、挨拶をする、指示には返答する、困ったら相談する、この3点を最低限の基準にしてください。」
期限設定
「まずは1週間、そこを意識して取り組んでください。その後、再度確認します。」
7.退職を含む判断が見えてきた時のセリフ
ここは慎重さが必要です。
ただし曖昧にしすぎてもいけません。
改善が見えない場合
「これまでお伝えしてきた点について、十分な改善が見られていません。このままの状態で継続勤務が適切か、会社として判断が必要な段階です。」
事実として伝える
「感情ではなく、これまでの指導経過と現場への影響を踏まえた話です。」
脅し口調にはしないことです。
「辞めてもらうしかないですね」は雑すぎます。
事実・経過・判断、この順番で話すのが基本です。
管理者が避けるべきNGワード
- 「やる気あるの?」
- 「みんな迷惑してる」
- 「普通はこうするでしょ」
- 「向いてないんじゃない?」
- 「もう辞めたら?」
これらは感情的には言いたくなります。
ただ、指導の言葉としては弱いです。
理由は、抽象的で、記録にも残しにくく、相手に“人格否定された”と受け取られやすいからです。
まとめ
問題スタッフへの指導で大切なのは、強く言うことではありません。
事実を伝え、基準を示し、改善の期限を切ることです。
そのためには、毎回ゼロから言葉を考えないことです。
使う言葉の型を持っておくと、管理者の負担はかなり減ります。
介護現場の管理者は、ただでさえ多くのことを抱えています。
だからこそ、問題スタッフ対応まで感情で消耗しないことが大切です。
指導は気合いではなく、準備です。


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