介護現場の節約は“ケチ”ではない|管理者が職員に節約を促すために大切なこと

管理者向け

介護業界では今、物価高騰や光熱費の上昇、人件費の増加など、事業運営に関わるコストが大きな課題になっています。

デイサービスでも、エアコン、ガス、シャワー、岩盤浴、床暖房、印刷物、消耗品など、日々の運営には多くの費用がかかっています。

だからこそ、多くの介護事業所で「節約」が重要なテーマになっています。

しかし、ここで注意したいのは、節約を単なる「我慢」や「コストカット」として伝えてしまうと、現場の職員は前向きに受け止めにくいということです。

節約とは、必要なものまで削ることではありません。
ムダを見直し、サービスの質を守りながら、会社を継続させるための改善活動です。

“節約してください”だけでは現場は動かない

介護現場では、管理者から職員に対して、次のような声かけがされることがあります。

  • 電気を消してください
  • 無駄遣いしないでください
  • コピーを減らしてください
  • エアコンの温度に気をつけてください

もちろん、これらは間違いではありません。

しかし、この伝え方だけでは、職員からすると「また我慢を求められている」「会社の都合だけを言われている」と感じてしまうことがあります。

特に介護職は、利用者様の快適さや安全を第一に考えています。

そのため、節約の伝え方を間違えると、「利用者様に不便をかけるのではないか」「サービスの質が落ちるのではないか」という不安につながります。

会社と職員は支え合う関係

会社は、職員に対して給与を支払い、働く環境を整え、利用者様にサービスを提供し続ける責任があります。

一方で、職員もまた、会社を支える大切な存在です。

現場での小さな気づきや、日々の無駄を見直す行動は、会社の継続に直結します。

会社だけが頑張るのではなく、職員だけが我慢するのでもない。
お互いに支え合いながら、より良い職場とサービスを作っていくことが大切です。

これは、大きな木と人の関係に似ています。

木は、人に木陰を作り、実を与え、守ってくれます。

しかし、その木も水や土がなければ育ちません。

会社も同じです。

会社が職員を支える一方で、職員の小さな協力が会社を育て、結果として職員の働く環境を守ることにつながります。

節約ではなく「適正化」と考える

管理者が職員に節約を伝える時に大切なのは、「削る」ではなく「適正化する」という考え方です。

たとえば、次のような視点です。

  • 人がいない場所の電気は消せているか
  • エアコンの温度は適切か
  • 岩盤浴や床暖房は必要な時間だけ動いているか
  • シャワーの水量は適切か
  • 印刷は本当に必要か
  • 在庫を持ちすぎていないか

これらは、利用者様へのサービスを下げるための取り組みではありません。

むしろ、必要なサービスを守るために、無駄を見直す取り組みです。

「節約」ではなく「適正化」。
この言葉の置き換えだけでも、現場の受け止め方は大きく変わります。

管理者がやってはいけない伝え方

節約を進める時に注意したいのが、「節約警察」になってしまうことです。

たとえば、次のような声かけです。

  • なんで電気がついているの?
  • また印刷したの?
  • それ無駄じゃない?
  • 使いすぎじゃない?

このような言い方が続くと、職員は萎縮してしまいます。

節約の目的は、職員を責めることではありません。

目的は、職員と一緒に会社を良くしていくことです。

管理者に必要なのは、監視ではなく共有です。

「止める・減らす・適正か」を合言葉にする

節約を現場に浸透させるには、わかりやすい合言葉があると効果的です。

たとえば、次の3つです。

  • 止められませんか?
  • 減らせませんか?
  • それは適正ですか?

「節約してください」と言われるよりも、「これは止められるかな?」「この量は適正かな?」と問いかけられた方が、職員は自分で考えやすくなります。

命令ではなく、気づきを促す。

これが、管理者の大切な役割です。

職員を巻き込むことで、改善活動になる

節約は、管理者だけが決めて現場に下ろすものではありません。

現場の職員が一番よく知っていることがあります。

  • どこで電気がつけっぱなしになりやすいか
  • どの時間帯に空調の調整が必要か
  • どの消耗品が余りやすいか
  • どの印刷物が本当に必要か

だからこそ、職員からアイデアを出してもらうことが大切です。

付箋に書いてもらう、ミーティングで意見を集める、ポスターにして見える化する。

こうした小さな工夫が、節約を「やらされ感」ではなく「自分たちの改善活動」に変えていきます。

節約活動は、経営参加の第一歩

介護現場では、現場と経営が分かれて考えられがちです。

しかし、実際には現場の小さな行動が、経営に大きな影響を与えています。

電気を消す、印刷を減らす、水量を見直す、在庫を整える。

一つひとつは小さな行動かもしれません。

しかし、それが積み重なることで、会社の利益を守り、職員の処遇改善や働く環境づくりにつながっていきます。

節約活動は、単なるコストカットではありません。
現場の職員が会社づくりに参加する、経営参加の第一歩です。

まとめ

管理者が職員に節約を促す時に大切なのは、「会社のために我慢してください」と伝えることではありません。

大切なのは、会社と職員が支え合う関係であることを伝えることです。

会社は職員の生活を守るために努力する。

職員もまた、会社を守るために日々の無駄を見直す。

この関係性ができた時、節約は単なる我慢ではなく、前向きな改善活動になります。

介護現場に必要なのは、厳しいコストカットではありません。

必要なのは、利用者様へのサービスを守りながら、無駄を見直すことです。

節約とは、価値を削ることではなく、価値を守るために無駄を減らすこと。

管理者は、職員を責めるのではなく、一緒に考える姿勢を大切にしたいものです。

その積み重ねが、職員にも、利用者様にも、会社にも、良い循環を生み出していくのではないでしょうか。

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